「お不動さん」の愛称で親しまれる不動明王を巡る旅、四国三十六不動霊場。その記念すべき第1番札所は、徳島県上板町、阿讃山脈の中腹に建つ大山寺(たいさんじ)です。
ここは約1450年前、「阿波仏法最初の寺院」として開かれた歴史ある古刹。
源義経が戦勝祈願をした伝説や、弁慶が植えたとされる大銀杏など、歴史ロマンあふれる境内にて、守り本尊「矜羯羅童子(こんがらどうじ)」と共に巡礼の第一歩を踏み出しましょう。
| 山号・院号 | 仏王山 玉林院(ぶつおうざん ぎょくりんいん) |
|---|---|
| 寺名 | 大山寺(たいさんじ) |
| 宗派 | 真言宗醍醐派 |
| 御本尊(不動) | 不動明王(ふどうみょうおう) ※本堂本尊は千手観音菩薩 |
| 守り本尊(童子) | 矜羯羅童子(こんがらどうじ) |
| 御真言(童子) | オン・バサラキ・タッタリ・ソワカ |
| 御詠歌 | 一(ひと)すじに かじの祈(いの)りを 捧(ささ)ぐれば 諸願(しょがん)成就(じょうじゅ)の 大山寺(たいさんじ)かな (意味:一心に不動明王へ加持祈祷を捧げれば、あらゆる願いが成就するという、ありがたい大山寺である) |
不動1番・大山寺の歴史と縁起
今から約1450年前、西範僧都(せいはんそうず)によって開かれた「阿波仏法最初の寺院」です。
その後、唐から帰国した弘法大師がこの地を訪れ、インドの霊山・須弥山(しゅみせん)に似ていることから「大山寺」と名付け、密教修行に最適な場所として再興しました。
古くは西方にあった寺院を、役行者(えんのぎょうじゃ)らが現在の場所へ移したとも伝えられています。
不動霊場としての中心となる「護摩堂(ごまどう)」は、鎌倉時代の安貞年間(1227〜1229年)に土御門(つちみかど)上皇によって建立され、不動明王が奉納されました。
境内の見どころ:童子と歴史の舞台
山門をくぐると、そこは歴史上の英雄たちも祈りを捧げたパワースポットです。
1. 守り本尊「矜羯羅童子(こんがらどうじ)」
四国三十六不動霊場では、各寺院に不動明王の眷属(けんぞく)である「三十六童子」が一体ずつ割り当てられています。
第1番の大山寺が担当するのは、不動明王の左脇に立つ「矜羯羅童子」。合掌した姿の穏やかな童子で、従順で慈悲深い心を持ち、これから始まる長い巡礼の道中安全を優しく見守ってくれる存在です。
2. 義経の戦勝祈願と「愛馬の墓」
源義経が屋島の合戦へと向かう途中、この大山寺に立ち寄り、必勝を祈願しました。
その際、愛馬「薄雪(うすゆき)」を奉納しましたが、馬はその後亡くなり、境内には丁寧に弔われたお墓が残っています。
3. 弁慶の「大銀杏」と縁結び
境内には、義経と共に訪れた武蔵坊弁慶が植えたと伝わる、樹齢800年の巨大なイチョウの木があります。
秋には黄金色に輝くこの大木は、古くから縁結びのご利益があるとして親しまれており、一般庶民の信仰も厚い場所です。
御朱印・納経について
参拝後は納経所へ。
四国三十六不動霊場の専用納経帳や掛け軸があります。各札所では、そのお寺の担当童子のお姿が描かれた御影(おみえ)を授与されます。
アクセス・駐車場・参拝案内
- 所在地: 徳島県板野郡上板町神宅字大山14-2
- 位置関係: 徳島自動車道「板野IC」または「土成IC」から車で約20分。カーブの多い山道を登ります。
- 駐車場: あり(無料)。駐車場から境内までは徒歩約1分です。
- 次の不動札所へ: 第2番「明王院(みょうおういん)」までは約10km。吉野川の北岸、阿波市(あわし)方面へ向かいます。
まとめ:童子と共に歩む、36の祈りの旅
不動1番・大山寺は、これから始まる長い巡礼の無事を祈る出発点です。 矜羯羅童子に見守られ、土御門天皇ゆかりの護摩堂で心を清めて、力強く第一歩を踏み出しましょう。