別格2番から車で約1時間。「葉っぱビジネス(彩)」で有名な徳島県上勝町(かみかつちょう)の深い山中に、別格3番・慈眼寺(じげんじ)があります。
標高550メートルの高地にあるこのお寺は、弘法大師が邪悪な龍を封じ込めた伝説の地。
そして最大の特徴は、大師が修行した鍾乳洞を、ロウソクの明かりだけを頼りに通り抜ける「穴禅定(あなぜんじょう)」です。狭い岩の隙間をくぐり抜け、心身を清める「生まれ変わり」の体験ができる、神秘的な聖地をご案内します。
| 山号・院号 | 月頂山 宝珠院(げっちょうざん ほうしゅいん) |
|---|---|
| 宗派 | 高野山真言宗 |
| 御本尊 | 十一面観世音菩薩(じゅういちめんかんぜおんぼさつ) |
| 開基 | 弘法大師(空海) |
| 御真言 | オン・マカ・キャロニキャ・ソワカ |
| 御詠歌 | 天つ風(あまつかぜ) 吹けば雲散る 月頂山(げっちょうざん) 来(こ)れてぞ見(み)る 月のすむかな (意味:天の風が吹けば、月頂山の雲は散り去っていく。ここまで登って来てこそ、澄み渡った心月(悟り)を見ることができるのだ) |
別格3番・慈眼寺の歴史と縁起
延暦年間(782〜806年)、19歳の弘法大師がこの不思議な形をした山に惹かれて登ったところ、洞窟に悪龍が棲みつき、村人を苦しめていることを知りました。
大師は法力によって龍を洞窟に封じ込め、十一面観音を刻んで安置し、魔除けの祈願を行いました。
その後、大師はこの洞窟で護摩修行を行い、結願の日に空から観音様が舞い降りて「慈眼」の秘法を授けたことから、寺号を「慈眼寺」と定めたと伝えられています。
境内の見どころ:恐怖と感動の穴禅定
苔むした岩と巨木に囲まれた境内は、まさに仙人が住むような幽玄な世界です。
1. 究極の修行「穴禅定(あなぜんじょう)」
慈眼寺最大の見どころは、本堂の上にある鍾乳洞での「穴禅定」です。
ここでは、お寺の用意した白衣(借用可)に着替え、先達(案内人)の導きで洞窟に入ります。中は真っ暗で、手元のロウソクだけが頼り。
人一人がやっと通れるほどの狭い岩の隙間を、体をくねらせながら進んでいきます。不思議なことに、先達の指示通りに動けば、体の大きな人でも通り抜けられると言われています。
最奥の大師像に参拝し、再び外の光を浴びたとき、文字通り「生まれ変わった」ような感動に包まれます。
※穴禅定は有料で、先達の案内が必要です。閉所恐怖症の方や体調の優れない方はご注意ください。
2. 美しい「多宝塔」と灌頂ヶ滝
境内には朱色が美しい多宝塔があり、緑深い山々とのコントラストが見事です。
また、お寺へ向かう林道の途中には「灌頂ヶ滝(かんじょうがたき)」という落差約80メートルの名瀑があります。晴れた日の午前中には滝の水しぶきに虹がかかることから「旭の滝」とも呼ばれ、不動明王が祀られています。
3. 四国一美しい村「上勝町」
慈眼寺のある上勝町は、日本で最も美しい村連合にも加盟しており、棚田の風景や、葉っぱビジネス、ゼロ・ウェイスト(ゴミゼロ)の取り組みで世界的に有名です。
お寺へ向かう道中も、日本の原風景のような美しい里山の景色を楽しむことができます。
御朱印・納経について
参拝後は納経所へ。別格霊場専用の納経帳に御朱印をいただきます。
穴禅定に挑戦された方は、その達成感を胸にいただく御朱印が、一生の宝物になることでしょう。
アクセス・駐車場・参拝案内
- 所在地: 徳島県勝浦郡上勝町正木灌頂瀧
- 位置関係: 四国八十八ヶ所の第20番・鶴林寺の近くですが、山深い場所にあります。
- 別格2番からの距離: 別格2番・童学寺から車で約1時間。県道16号線などを経由します。
- 駐車場: あり(無料)。山門の下に駐車場があります。
- 道の注意点: お寺へ続く道は非常に狭い山道(離合困難な箇所あり)です。運転には十分ご注意ください。
- 次の別格札所へ: 別格第4番「鯖大師本坊(さばだいしほんぼう)」までは約65km。海沿い(海陽町)へ向かう長い移動となります。
まとめ:暗闇を抜けて光を知る
別格3番・慈眼寺は、観光気分だけでは味わえない、本気の修行体験ができる貴重な場所です。 穴禅定の狭き門をくぐり抜けた先には、きっと新しい自分との出会いが待っています。勇気を出して、挑戦してみてはいかがでしょうか。