別格3番から車で約1時間半。徳島県南部の海陽町、太平洋に面した八坂八浜(やさかやはま)の海岸沿いに、別格4番・鯖大師本坊(さばだいしほんぼう)があります。
正式名称は「八坂寺(やさかじ)」ですが、「鯖大師」の名で広く親しまれています。
その理由は、境内に立つ弘法大師像を見れば一目瞭然。なんと、右手に一匹の「サバ」をぶら下げているのです。塩サバが生き返って海を泳いだという驚きの伝説と、願いを叶えるためのユニークな風習が残るお寺をご案内します。
| 山号・院号 | 八坂山(やさかざん) |
|---|---|
| 宗派 | 高野山真言宗 |
| 御本尊 | 不動明王(ふどうみょうおう) |
| 開基 | 弘法大師(空海)、行基菩薩 |
| 御真言 | ノウマク・サンマンダ・バザラダン・センダ・マカロシャダ・ソワタヤ・ウン・タラタ・カン・マン |
| 御詠歌 | 影(かげ)頼(たの)み 積(つ)める功徳(くどく)の 八坂寺(やさかでら) 救(すく)いとるてふ 鯖(さば)の大師(だいし) (意味:お大師様の影(おかげ)を頼りに功徳を積む八坂寺。人々を救い取ってくださるという、ありがたい鯖大師である) |
別格4番・鯖大師本坊の歴史と縁起
弘仁年間、弘法大師がこの地を巡錫中、塩サバを積んだ馬を引く馬子(うまご)に出会いました。
大師が「そのサバを一つ譲ってくれないか」と頼むと、馬子は「これは坊主が食うものではない」と口汚く罵り、断りました。
すると間もなく、馬が急に腹痛を起こして倒れてしまいました。慌てた馬子は大師に非礼を詫び、サバを差し出して馬の回復を懇願しました。
大師が加持水を与えると馬はたちまち元気になりました。大師は譲り受けた塩サバを海(八坂の浜)に投げ入れると、なんと塩サバは生き返って元気に泳ぎ去っていったといいます。
この奇跡により、この寺は「鯖大師」と呼ばれるようになり、病気平癒や旅の安全にご利益があるとして信仰されています。
境内の見どころ:サバ断ち祈願と護摩トンネル
海岸近くにある境内は広く、伝説にちなんだスポットや四国霊場でも珍しい施設があります。
1. サバを持つ「鯖大師像」
境内には、右手にサバをぶら下げた姿の「鯖大師像」が立っています。
弘法大師像は数あれど、魚を持っている姿はここだけでしょう。この像の前で、「3年間サバを口にしません(サバ断ち)」と誓って祈願すると、どんな願い事でも一つだけ叶えてくれると言われています。サバ好きな方には少し辛い修行かもしれません。
2. 四国霊場唯一「護摩堂トンネル」
大師堂の地下には、四国霊場唯一の「地下護摩堂」があります。
ここは「四国八十八ヶ所お砂踏み道場」になっており、トンネルのような回廊を進みながら、八十八ヶ所の御本尊にお参りすることができます。薄暗い通路の先にある護摩壇は神秘的な雰囲気が漂っています。
3. 不動の滝と多宝塔
境内奥の山腹には「不動の滝」があり、かつて大師が修行した場所とされています。
また、朱色が鮮やかな多宝塔や、サバ大師の伝説を描いた絵馬なども見どころの一つです。海沿いの爽やかな風を感じながら、境内を散策してみてください。
御朱印・納経について
参拝後は納経所へ。別格霊場専用の納経帳に御朱印をいただきます。
御影(おみえ)には、もちろんサバを持ったお大師様の姿が描かれています。非常に珍しい構図ですので、ぜひじっくりとご覧ください。
アクセス・駐車場・参拝案内
- 所在地: 徳島県海部郡海陽町浅川字中流109
- 位置関係: 四国八十八ヶ所の第23番・薬王寺と、第24番・最御崎寺の間に位置しています。室戸岬へ向かう国道55号線沿いから少し入った場所にあります。
- 別格3番からの距離: 別格3番・慈眼寺から車で約1時間半。山を下りて海岸線を南下する長い道のりです。
- 公共交通機関: JR牟岐線「鯖瀬駅(さばせえき)」から徒歩スグ。駅名にも「鯖」が入っています。
- 駐車場: あり(無料)。広くて停めやすい駐車場があります。
- 次の別格札所へ: 別格第5番「大善寺(だいぜんじ)」までは約95km。高知県須崎市まで、室戸岬を回って進む非常に長い移動(約2時間半〜3時間)となります。
まとめ:サバを断って願いを叶える
別格4番・鯖大師本坊は、ユーモラスな伝説の中に、深い慈悲と信仰が息づくお寺です。 塩サバが蘇る奇跡にあやかり、3年間の「サバ断ち」を決意して、人生の大願成就を祈ってみてはいかがでしょうか。