第5番札所 地蔵寺の境内
第5番札所 地蔵寺の境内

第4番札所・大日寺から約2キロ。山間の道を進んだ先に、巨大な銀杏の木が見守る第5番札所・地蔵寺(じぞうじ)があります。

ここには、「勝軍(しょうぐん)地蔵」と呼ばれる、鎧をまとって馬に跨った珍しいお地蔵様が祀られています。勝負運や厄除けのご利益があるとされ、古くから武将たちにも信仰されてきました。
さらに、境内の奥にある「五百羅漢(ごひゃくらかん)」は、訪れる人々を圧倒する不思議な空間です。地蔵寺が持つ、力強さと神秘的な魅力をご案内します。

山号・院号 無尽山 荘厳院(むじんざん しょうごんいん)
宗派 真言宗御室派
御本尊 勝軍地蔵菩薩(しょうぐんじぞうぼさつ)
開基 弘法大師(空海)
御真言 オン・カカカ・ビ・サンマエイ・ソワカ
御詠歌 六道(ろくどう)の 能化(のうげ)の地蔵(じぞう) 大菩薩(だいぼさつ) 導(みちび)きあたまえ この世(よ)のちの世(よ) (意味:六道(地獄などの苦しみの世界)を救ってくださるお地蔵様よ、どうぞこの世でも来世でも私たちをお導きください)

5番札所・地蔵寺の歴史と縁起

地蔵寺の創建は平安時代の弘仁12年(821年)。嵯峨天皇の勅願により、弘法大師(空海)が開いたと伝えられています。

大師は自ら、高さ約5.5センチほどの小さな「勝軍地蔵菩薩」を彫り、それを本尊として安置しました。このお地蔵様は、甲冑を身につけ馬にまたがった勇ましいお姿をしており、「戦に勝つ」ご利益があるとして、源頼朝や義経、蜂須賀家など多くの武将から厚い信仰を集めました。
かつては広大な寺領を持つ大寺院でしたが、長宗我部の兵火により焼失。その後、歴代の住職や信徒の尽力により復興され、現在に至ります。

境内の見どころ:圧倒的な羅漢像と伝説の木

地蔵寺には、他のお寺では見られないユニークで迫力ある見どころがあります。特に「奥の院」は必見です。

1. 表情豊かな「五百羅漢(奥の院)」

本堂の左手奥にある「奥の院」には、コの字型の回廊に約200体の羅漢像(らかんぞう)がずらりと並んでいます(創建当時は500体ありましたが、火災で焼失し現在は約200体)。
これらは実物大の木像で、喜怒哀楽さまざまな表情をしています。「亡き親や自分に似た顔が必ず見つかる」と言われており、一体一体の顔を見ていると、不思議と心が吸い込まれるような感覚になります。

2. 勝負運を授ける「勝軍地蔵」

御本尊の「勝軍地蔵菩薩」は秘仏ですが、そのお姿は非常に珍しいものです。お地蔵様といえば優しく子供を守るイメージがありますが、ここのお地蔵様は鎧を着て馬に乗り、悪を挫く力強い姿をしています。
現代では、スポーツの試合や受験、商売、病気との闘いなど、人生の「負けられない戦い」に挑む人々が、勝利と厄除けを願って手を合わせています。

3. 弘法大師の伝説「たらちね大銀杏」

境内にある樹齢800年を超える大銀杏は、弘法大師がお手植えされたと伝わります。
この木には「たらちね銀杏」という別名があり、大師が母の乳の出が良くなるように祈願したという伝説から、母乳や子供の健康にご利益があると信じられています。秋には黄金色に染まり、境内を美しく彩ります。

御朱印・納経について

参拝後は納経所へ。地蔵寺の御朱印には、お地蔵様を表す梵字(カ)と「本尊 勝軍地蔵尊」の文字が記されます。
「勝軍」という力強い文字が入った御朱印は、持っているだけで勇気が湧いてくるような特別なお守りとなるでしょう。

アクセス・駐車場・参拝案内

  • 所在地: 徳島県板野郡板野町羅漢字林東5
  • 第4番からの距離: 第4番札所・大日寺から約2km。徒歩で約30分、車で約5分。山間の比較的歩きやすい道のりです。
  • 駐車場: あり(無料)。山門前に普通車用の駐車スペースがあります。
  • 次の札所へ: 第6番札所「安楽寺」までは約5.3km。徒歩で約1時間20分、車で約15分の距離です。

まとめ:勝利と救いを求めて

第5番札所・地蔵寺は、勝負運を授ける力強いお地蔵様と、人間味あふれる五百羅漢が共存する不思議なお寺です。 人生の節目や、何かに挑戦したい時、ここの勝軍地蔵にお参りして背中を押してもらうのも良いでしょう。羅漢様たちの表情に、ふと自分の心を見透かされるような体験も待っています。