第5番札所から約5.3キロ。のどかな田園風景を抜けた先にあるのが、第6番札所・安楽寺(あんらくじ)です。
山号を「温泉山(おんせんざん)」といい、その名の通り、古くから温泉が湧き出る寺として知られています。かつて弘法大師がこの地の温泉で人々を癒やしたという伝説が残り、現在も天然温泉のある宿坊が多くの巡礼者の疲れを癒やしています。
「逆松(さかさまつ)」の伝説や、美しい枯山水の庭園など、心身を清める見どころ満載の安楽寺をご案内します。
| 山号・院号 | 温泉山 瑠璃光院(おんせんざん るりこういん) |
|---|---|
| 宗派 | 高野山真言宗 |
| 御本尊 | 薬師如来(やくしにょらい) |
| 開基 | 弘法大師(空海) |
| 御真言 | オン・コロコロ・センダリ・マトウギ・ソワカ |
| 御詠歌 | 仮(かり)の世(よ)に 知契(ちぎ)り結(むす)ばん 安楽寺(あんらくじ) つひには弥陀(みだ)の 国(くに)へ行(ゆ)かん (意味:この仮の世で安楽寺とご縁を結べば、最後には必ず極楽浄土へ行くことができるだろう) |
6番札所・安楽寺の歴史と縁起
安楽寺の歴史は平安時代、弘法大師がこの地を巡錫した際に温泉を発見したことに始まります。大師は、あらゆる病を治す温泉の効能に薬師如来の慈悲を感じ、堂宇を建立して「温泉山 安楽寺」と名付けました。
かつては現在地より山寄りの「安楽寺谷」にありましたが、天正年間の兵火で焼失。その後、現在の地で再建されました。
江戸時代には阿波藩主・蜂須賀家から「駅路寺(えきろじ)」に指定され、お遍路さんや旅人に宿や食事を提供する役割を担いました。その伝統は今も受け継がれ、充実した設備を持つ宿坊として親しまれています。
境内の見どころ:伝説の松と癒やしの空間
境内は手入れが行き届いた美しい日本庭園のようです。特に注目していただきたいのが、大師の伝説が残る松と、珍しい仏像です。
1. 厄除けの伝説「逆松(さかさまつ)」
大師堂の前にある立派な松は「逆松」と呼ばれています。伝説によると、弘法大師がこの地で猟師が誤って矢を射かけてしまった際、その身代わりとして松を逆さに植え、「この松が栄えれば、この地から災厄がなくなる」と予言したと伝えられています。
この松は今も青々と茂り、厄除けのご利益を求めて多くの人が手を合わせるパワースポットとなっています。
2. 秘仏「銀の薬師如来」
安楽寺の本堂には、古来より「銀の薬師如来」と呼ばれる御本尊が祀られています(現在は秘仏)。
薬師如来は「医王」とも呼ばれ、病気平癒や健康長寿に強いご利益があります。温泉の効能と合わせて、体の不調を抱える巡礼者にとって、ここはまさに心身の再生の場といえるでしょう。
3. 疲れを癒やす「宿坊と温泉」
安楽寺は、天然温泉(ラドン温泉)に入れる宿坊があることでも有名です。「薬師の湯」と呼ばれるこの温泉は、お遍路の疲れを癒やすには最高のご褒美。
宿泊しなくても、境内にある美しい多宝塔や庭園を眺めるだけで、心が洗われるような静けさを味わうことができます。
御朱印・納経について
参拝後は納経所へ。安楽寺の御朱印には、薬師如来を表す梵字(バイ)と「本尊 薬師如来」の文字が記されます。
「瑠璃光院(るりこういん)」という院号も墨書きされることがあり、薬師如来の清らかな光を感じさせる美しい御朱印です。
アクセス・駐車場・参拝案内
- 所在地: 徳島県板野郡上板町引野字寺ノ西北8
- 第5番からの距離: 第5番札所・地蔵寺から約5.3km。徒歩で約1時間20分、車で約15分。平坦な道が続きますが、距離があるので休憩を取りながら進みましょう。
- 駐車場: あり(無料)。山門周辺に広い駐車スペースがあり、大型バスも駐車可能です。
- 次の札所へ: 第7番札所「十楽寺」までは約1.2km。徒歩で約20分、車で約5分と近い距離にあります。
まとめ:温泉とお大師様の伝説に癒やされる
第6番札所・安楽寺は、その名の通り「安らぎ」を与えてくれるお寺です。 逆松の伝説に触れて厄を落とし、薬師如来に健康を祈る。そして時間があれば温泉で体を温める。ここでのひとときは、長い巡礼の旅を続けるための大きな活力となるはずです。
