別格5番(高知県須崎市)から県境を越え、約100キロの大移動。愛媛県南予地方の中心都市・宇和島市に到着します。その玄関口である「JR宇和島駅」のすぐ目の前、小高い丘の上に別格6番・龍光院(りゅうこういん)はあります。
駅に降り立つと、山門とそこへ続く長い石段が見え、まさに宇和島のシンボルとも言えるお寺。
宇和島藩主・伊達家(だてけ)の厚い保護を受け、南国の象徴であるフェニックス(ヤシ科の植物)が植えられた境内からは、城下町宇和島を一望できます。
| 山号・院号 | 臨海山 福寿寺(りんかいざん ふくじゅじ) |
|---|---|
| 宗派 | 高野山真言宗 |
| 御本尊 | 十一面観世音菩薩(じゅういちめんかんぜおんぼさつ) |
| 開基 | 弘法大師(空海) |
| 御真言 | オン・マカ・キャロニキャ・ソワカ |
| 御詠歌 | 導(みちび)きを あまたの人(ひと)に 与(あた)うらん 道(みち)ある世(よ)には 迷(まよ)わざりけり (意味:仏の教えの導きを多くの人に与えてくれるだろう。正しい道があるこの世においては、もはや迷うことはない) |
別格6番・龍光院の歴史と縁起
大同2年(807年)、弘法大師がこの地を巡錫した際、稲束を背負った白髪の老人の姿をした「稲荷明神」が現れ、霊地であることを告げました。
大師はこれに感銘を受け、十一面観音像を刻んで本尊とし、稲荷明神を鎮守として祀り開山したと伝えられています。
江戸時代に入ると、仙台藩主・伊達政宗の長男である伊達秀宗(ひでむね)が宇和島藩に入封。龍光院は宇和島城の鬼門(北東)を守る鎮護の寺として、また伊達家の祈願寺として手厚く保護され、栄えました。
境内の見どころ:108の石段と伊達家の威光
駅前の喧騒を離れ、石段を登ると、そこには穏やかな祈りの空間が広がっています。
1. 煩悩を払う「108段の石段」
山門から本堂へと続く石段は、ちょうど108段あります。
これは人間の煩悩の数と同じで、一段登るごとに一つ煩悩が消えると言われています。息を切らして登りきった先で振り返ると、宇和島駅や市街地を見下ろす素晴らしい景色が待っています。
2. 商売繁盛「白肌稲荷(しらひだいなり)」
本堂の左手には、弘法大師を導いたとされる稲荷明神を祀る「白肌稲荷大明神」があります。
商売繁盛や五穀豊穣の神様として、地元の人々に深く信仰されています。白いキツネの像が並ぶ雰囲気は独特で、力強いパワーを感じさせます。
3. 南国情緒と除夜の鐘
境内には大きなソテツやフェニックスが植えられており、南国・宇和島らしい明るい雰囲気が漂っています。
また、大晦日には「除夜の鐘」が突かれ、その音は宇和島の街全体に響き渡り、新年の訪れを告げる風物詩となっています。
御朱印・納経について
参拝後は納経所へ。別格霊場専用の納経帳に御朱印をいただきます。
龍光院は、八十八ヶ所第40番・観自在寺と第41番・龍光寺の間に位置しており、お遍路の道中に立ち寄りやすい場所にあります。
アクセス・駐車場・参拝案内
- 所在地: 愛媛県宇和島市天神町1-1
- 位置関係: 八十八ヶ所巡りでは、第40番・観自在寺(愛南町)から第41番・龍光寺(宇和島市三間町)へ向かう途中にあります。
- 別格5番からの距離: 別格5番・大善寺から車で約2時間(約100km)。高知から愛媛への県境越えルートです。
- 公共交通機関: JR予讃線「宇和島駅」から徒歩約3分。駅を出て右手に見える山の上にあります。
- 駐車場: あり(無料)。山の裏側から車で境内近くまで上がれる道と駐車場があります。
- 次の別格札所へ: 別格第7番「出石寺(しゅっせきじ)」までは約45km。大洲市方面へ向かい、標高800mを超える山頂を目指します。
まとめ:駅近の絶景寺で一休み
別格6番・龍光院は、長い移動の後に宇和島へ到着した安堵感を与えてくれるお寺です。 108段の石段で煩悩を払い、眼下に広がる街並みを眺めれば、旅の疲れも癒やされることでしょう。ここから南予の旅が始まります。