別格6番から南東へ約45キロ。大洲市(おおずし)の山奥、標高812メートルの金山(きんざん)山頂に、別格7番・出石寺(しゅっせきじ)があります。
「くわばら、くわばら」の語源とも言われる雷伝説や、弘法大師が地から湧き出した石を見て寺を開いたという神秘的な伝説が残る古刹です。
早朝には眼下に雲海が広がり、晴れた日には遠く瀬戸内海や中国地方の山々まで見渡せる、天空の絶景スポットとしても知られています。
| 山号・院号 | 金山 光耀院(きんざん こうよういん) |
|---|---|
| 宗派 | 真言宗御室派 |
| 御本尊 | 千手観世音菩薩(せんじゅかんぜおんぼさつ) |
| 開基 | 道教法師 |
| 御真言 | オン・バザラ・タラマ・キリク・ソワカ |
| 御詠歌 | くまの山(やま) あまたの峰(みね)を 踏(ふ)み分けて 仏(ほとけ)の庭(にわ)に 詣(まい)る嬉(うれ)しさ (意味:険しい久万の山々、数多くの峰を踏み越えて、ようやくこの仏の庭(出石寺)にお参りできることの、なんと嬉しいことか) |
別格7番・出石寺の歴史と縁起
養老2年(718年)、宇佐八幡宮の道教法師が、空に輝く金色の光を見てこの山に登り、そこで「地から湧き出したような霊石」を発見しました。法師はその岩の上に堂宇を建て、千手観音を安置したのが始まりとされます。
その後、弘法大師がこの地を訪れ、「石が湧き出る」という意味で寺号を「出石寺(しゅっせきじ)」と名付け、山号を「金山(きんざん)」としました。
古くから鉱山信仰とも結びつきがあり、この山からは銅が産出されたとも伝えられています。
境内の見どころ:天空の大パノラマ
長い山道を登りきると、そこには空に近い祈りの空間が広がっています。
1. 360度の絶景と「雲海」
出石寺の最大の魅力は、その眺望です。
境内からは360度の大パノラマが広がり、北には瀬戸内海、南には石鎚山系を望むことができます。特に秋から冬にかけての早朝には、眼下に一面の雲海が広がり、まるで極楽浄土のような幻想的な風景に出会えることがあります。
2. 地から湧いた「霊石」
本堂の床下には、寺名の由来となった「湧き出し石」が今も祀られていると言われています(通常は非公開)。
大地から湧き出るエネルギーを感じさせるパワースポットであり、五穀豊穣や産業繁栄のご利益があるとされています。
3. 歴史を刻む大師堂と鐘楼
山火事や戦火で幾度も堂宇を焼失しましたが、その都度再建されてきました。
現在の大師堂や鐘楼堂は、厳しい自然環境に耐えながら、山岳寺院としての威厳を保っています。静寂の中で鐘をつけば、その音色は遠く麓の里まで響き渡ります。
御朱印・納経について
参拝後は納経所へ。別格霊場専用の納経帳に御朱印をいただきます。
ここまで車で登ってくるだけでも大変な道のりですが、その苦労に見合うだけの達成感と素晴らしい景色が、御朱印と共に記憶に刻まれるでしょう。
アクセス・駐車場・参拝案内
- 所在地: 愛媛県大洲市豊茂乙1
- 位置関係: 八十八ヶ所のルートからは少し離れた山の上にあります。第43番・明石寺(西予市)や第44番・大寶寺(久万高原町)へ向かう途中で立ち寄るルートが一般的ですが、かなりの寄り道となります。
- 別格6番からの距離: 別格6番・龍光院から車で約1時間半〜2時間。大洲市内から県道24号・28号などを経由して山頂を目指します。
- 道の注意点: お寺へ続く道は舗装されていますが、狭いカーブが続く山道です。霧が出やすい場所でもあるため、運転には十分ご注意ください。冬期は積雪・凍結のおそれがあります。
- 駐車場: あり(無料)。山頂付近に駐車場があります。
- 次の別格札所へ: 別格第8番「十夜ヶ橋(とよがはし)」までは約18km。山を下り、大洲市の市街地(国道56号線沿い)へ向かいます。
まとめ:天空で深呼吸する喜び
別格7番・出石寺は、四国の屋根とも言える高い場所から、下界を見渡すことができるお寺です。 地から湧いた石の伝説に触れ、雲の上の空気を胸いっぱいに吸い込めば、日々の些細な悩みなど吹き飛んでしまうような爽快感を味わえます。