別格11番から東へ約45キロ。製紙工場で有名な四国中央市(旧土居町)に、別格12番・延命寺(えんめいじ)があります。
八十八ヶ所第54番の延命寺(今治市)とは別のお寺です。
ここには、足の不自由な人がお参りして歩けるようになったという「いざり松」の伝説があり、古くから難病平癒や安産の霊場として知られています。弘法大師直伝の秘符「千枚通し」を求めて、多くの参拝者が訪れます。
| 山号・院号 | 摩尼山 玲光院(まにざん れいこういん) |
|---|---|
| 宗派 | 真言宗醍醐派 |
| 御本尊 | 延命地蔵菩薩(えんめいじぞうぼさつ) |
| 開基 | 行基菩薩 |
| 御真言 | オン・カカカ・ビ・サンマエイ・ソワカ |
| 御詠歌 | 千代(ちよ)かけて 誓(ちか)い納(おさ)めし 延命寺(えんめいじ) 引(ひ)き導(みちび)かん 極楽(ごくらく)の道(みち) (意味:千代にわたって衆生を救う誓いを立てた延命寺のお地蔵様は、私たちを極楽浄土への道へと導いてくださるだろう) |
別格12番・延命寺の歴史と縁起
聖武天皇の勅願により行基菩薩が開基しました。弘仁年間、弘法大師がこの地で「延命地蔵菩薩」を刻んで本尊とし、寺号を延命寺と改めました。
この時、大師は境内にお手植えの松を植え、「この松が栄える時、人々も栄える」と予言したと伝えられています。
江戸時代には、足が不自由で「いざり(座ったまま移動すること)」をしていた人が、この松の下で一心に祈願したところ、足が治って歩いて帰れるようになったという伝説が生まれ、その松は「いざり松」と呼ばれるようになりました。
境内の見どころ:千枚通しといざり松
住宅街の一角にありながら、境内は静寂に包まれ、強い祈りの力を感じさせます。
1. 難病・安産の秘符「千枚通し」
延命寺で最も有名なのが、弘法大師直伝とされる「千枚通し(せんまいどおし)」というお守り(御符)です。
これは、大師が版木に刻んだ地蔵尊のお姿を和紙に刷ったもので、水に浮かべてその水を飲むと、安産や難病平癒にご利益があると言われています。
「千枚通し」という名前は、かつて千枚の御符を通して祈祷したことに由来するとも、千枚の願いを通すという意味とも言われています。
2. 伝説の「いざり松」
境内には、伝説の「いざり松」の枯れた幹の一部が、お堂の中に大切に保存されています。
かつて足の不自由な人が回復した際に置いていった杖なども奉納されており、その霊験の凄さを物語っています。現在は二代目の松が植えられ、その伝説を受け継いでいます。
3. 西日本一の「枝垂れ桜」
延命寺は桜の名所としても知られ、特に「千枚通し桜」と呼ばれる樹齢の長い枝垂れ桜は見事です。
春には満開の花を咲かせ、訪れる人々の目を楽しませてくれます。
御朱印・納経について
参拝後は納経所へ。別格霊場の御朱印をいただきます。
納経所では「千枚通し」の御符も授与していただけます。ご自身のため、あるいは大切な人の健康祈願のために拝受される方が多いです。
アクセス・駐車場・参拝案内
- 所在地: 愛媛県四国中央市土居町土居895
- 位置関係: 八十八ヶ所の第65番・三角寺がある四国中央市内に位置します。三角寺へ向かう前に立ち寄るのがスムーズなルートです。
- 別格11番からの距離: 別格11番・生木地蔵から車で約50分。国道11号線を東へ進みます。
- 駐車場: あり(無料)。山門の前に駐車場があります。
- 次の別格札所へ: 別格第13番「仙龍寺(せんりゅうじ)」までは約20km。ここから再び山深く入り、険しい峠道を越えていきます。
まとめ:命を延ばし、希望を通すお寺
別格12番・延命寺は、足腰の健康や安産、難病平癒といった切実な願いを受け止めてくれる場所です。 千枚通しの秘法といざり松の伝説に触れ、明日への活力をいただいてください。