第13番札所から約2.3キロ。鮎喰川の流れに寄り添うような静かな地に、第14番札所・常楽寺(じょうらくじ)があります。
境内に入ると、まず足元の景色に驚かされることでしょう。そこは平らな地面ではなく、ゴツゴツとした岩盤が露出した不思議な空間。「流水岩の庭」と呼ばれるこの独特な景観は、自然の力強さを感じさせます。
四国八十八ヶ所で唯一「弥勒菩薩」を御本尊とするこのお寺には、病気平癒の伝説を持つ「あららぎ大師」など、見逃せないスポットが点在しています。
| 山号・院号 | 盛寿山 延命院(せいじゅざん えんめいいん) |
|---|---|
| 宗派 | 高野山真言宗 |
| 御本尊 | 弥勒菩薩(みろくぼさつ) |
| 開基 | 弘法大師(空海) |
| 御真言 | オン・マイタレイヤ・ソワカ |
| 御詠歌 | 常楽(じょうらく)の 岸(きし)にはいつか 到(いた)らまし わずかの間(あいだ)の 障(さわ)りありとも (意味:たとえ今はわずかな障り(苦難)があっても、信心を続ければ、いつかは常楽(悟り)の岸へたどり着くだろう) |
14番札所・常楽寺の歴史と縁起
常楽寺は、弘仁6年(815年)、弘法大師がこの地で修行していた際、弥勒菩薩を感得して霊木にその像を刻み、堂宇を建立したのが始まりとされています。
大師は、この地のごつごつとした岩盤の景色を見て、「これぞまさしく仏教の聖地である」と感じたといいます。寺号の「常楽」とは、仏教の理想の境地である「涅槃(ねはん)」の徳を表す「常楽我浄(じょうらくがじょう)」から名付けられました。
かつては谷間の奥にありましたが、洪水などの被害を避けるため、江戸時代の初期に現在の岩盤の高台へと移されました。
境内の見どころ:岩の庭と癒やしの巨木
常楽寺の境内は、他のどのお寺とも違う野趣あふれる雰囲気を持っています。
1. 自然のアート「流水岩の庭」
境内全体が、断層のずれによって隆起した岩盤の上にあります。地面が波打つようにゴツゴツとしており、その様子がまるで水が流れているように見えることから「流水岩の庭」と呼ばれています。
歩きにくい場所もありますが、自然が作り出した力強い造形美を踏みしめながらお参りすることで、大地のエネルギーを感じられるでしょう。
2. 霊場唯一の「弥勒菩薩」
御本尊は「弥勒菩薩(みろくぼさつ)」です。釈迦が入滅した後、56億7千万年後にこの世に現れて人々を救うとされる「未来の仏様」です。
四国八十八ヶ所の中で弥勒菩薩を御本尊とするのは、ここ常楽寺だけ。未来への希望や、平穏な世の中を願う祈りが捧げられています。
3. 糖尿病治癒の伝説「あららぎ大師」
境内には「あららぎ大師」と呼ばれる大きな木(イチイの木)の霊木があります。
かつて弘法大師がこの木の上で修行していた時、糖尿病に苦しむ老人が訪ねてきました。大師がこの木の枝を煎じて飲ませたところ、たちまち病が治ったという伝説があります。現在も、糖尿病や眼病の平癒を願う人々から厚く信仰されています。
御朱印・納経について
参拝後は納経所へ。常楽寺の御朱印には、弥勒菩薩を表す梵字(ユ)と「本尊 弥勒菩薩」の文字が記されます。
唯一の御本尊である弥勒様のご利益をいただき、未来への希望を持って次の札所へと向かいましょう。
アクセス・駐車場・参拝案内
- 所在地: 徳島県徳島市国府町延命606
- 第13番からの距離: 第13番札所・大日寺から約2.3km。徒歩で約40分、車で約5分。平坦な道のりでアクセスしやすい場所にあります。
- 駐車場: あり(無料)。山門の前に駐車スペースがあります。境内へは階段を登ります。
- 次の札所へ: 第15番札所「国分寺」までは約0.8km。徒歩で約15分、車で約3分。すぐ目と鼻の先にあります。
まとめ:岩盤の大地で未来を祈る
第14番札所・常楽寺は、露出した岩盤という荒々しい自然と、未来を救う弥勒菩薩の慈悲が調和したお寺です。 足元の岩の感触を確かめながら、あららぎ大師の伝説に触れ、心身の健康と明るい未来を祈願するひとときをお過ごしください。
