第24番札所 最御崎寺の境内
第24番札所 最御崎寺の境内

徳島県最後の札所から、海岸線を南へ約75キロ。太平洋に突き出した室戸岬の山頂に、第24番札所・最御崎寺(ほつみさきじ)があります。

ここからいよいよ高知県、「修行の道場」が始まります。若き日の弘法大師が悟りを開いた洞窟や、亜熱帯植物が茂る境内は、どこか南国の力強さと厳粛な空気が同居する不思議な空間。
「空海」という名前の由来となった、空と海が広がる絶景の聖地をご案内します。

山号・院号 室戸山 明星院(むろとざん みょうじょういん)
宗派 真言宗豊山派
御本尊 虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)
開基 弘法大師(空海)
御真言 ノウボウ・アキャシャ・キャラバヤ・オン・アリ・キャマリ・ボリ・ソワカ
御詠歌 明星(みょうじょう)の 出(い)ぬる方(かた)の 東寺(ひがしでら) 暗(くら)き迷(まよ)いは などかなるらん (意味:明星が輝く東の空にあるこの寺にお参りすれば、心の迷いの闇などどうして晴れないことがあろうか)

24番札所・最御崎寺の歴史と縁起

最御崎寺は、弘法大師の人生において極めて重要な場所です。
延暦11年(792年)、当時19歳だった大師は、室戸岬の海岸にある洞窟(御厨人窟)に籠もり、「虚空蔵求聞持法」という厳しい修行を行いました。

修行の最中、明け方の空に輝く明星(金星)が口の中に飛び込み、大師は悟りを開いたと伝えられています。その時、洞窟から見えたのは「空」と「海」だけだったことから、自らを「空海」と名乗るようになったと言われています。
その後、大同2年(807年)に嵯峨天皇の勅願を受けて、虚空蔵菩薩を本尊として寺を建立しました。

境内の見どころ:空海誕生の地と不思議な石

室戸岬の先端、標高165メートルにある境内には、南国特有の植生や不思議な音色の石など、見どころが満載です。

1. 空海が悟りを開いた「御厨人窟(みくろど)」

寺から海岸へ下りた場所に、大師が修行をした洞窟「御厨人窟(みくろど)」と「神明窟(しんめいくつ)」があります。
ここで波音を聞きながら瞑想し、世界の真理に触れた場所です。洞窟の中から外を見ると、空と海が切り取られたように見え、大師が見た風景を追体験できるパワースポットとして人気です。

2. 響き渡る音色「鐘石(かねいし)」

境内のあちこちに、表面がくぼんだ大きな石があります。これは「鐘石」と呼ばれ、小石で叩くと「キーン、コーン」と金属的な澄んだ音が響きます。
その響きは冥土まで届くと言われ、先祖供養のために叩いて祈る風習があります。ぜひ実際に叩いて、不思議な音色を体験してみてください。

3. 南国の息吹「亜熱帯植物」

温暖な室戸岬にあるため、境内にはクワズイモやアコウの木など、亜熱帯の植物が自生しています。
特に巨大なアコウの木が根を張る様子は生命力に溢れ、本州とは違う「南国・土佐」に来たことを実感させてくれます。室戸岬灯台もすぐ近くにあり、太平洋を一望できる絶景スポットです。

御朱印・納経について

参拝後は納経所へ。最御崎寺の御朱印には、虚空蔵菩薩を表す梵字(タラーク)と「本尊 虚空蔵菩薩」の文字が記されます。
高知県最初の御朱印です。ここから始まる「修行の道場」の旅路に向け、決意を込めていただきましょう。

アクセス・駐車場・参拝案内

  • 所在地: 高知県室戸市室戸岬町4058-1
  • 第23番からの距離: 第23番札所・薬王寺から約75km。車で約2時間、徒歩だと約20時間(2〜3日)かかる長い道のりです。
  • アクセス方法:
    • 車: 国道55号線を南下し、室戸岬スカイラインを通って山上の駐車場へ。
    • 公共交通機関: 高知東部交通バス「室戸岬」バス停下車、そこから急な登山道を徒歩約30分。
  • 駐車場: あり(無料)。山門近くに駐車場があります。
  • 次の札所へ: 第25番札所「津照寺」までは約6.5km。室戸岬の西海岸沿いを進みます。

まとめ:空と海の聖地で新たな一歩を

第24番札所・最御崎寺は、弘法大師空海が誕生したとも言える原点の地です。 眼前に広がる圧倒的な太平洋と空を眺め、鐘石の音色に耳を澄ませば、長い移動の疲れも吹き飛びます。ここから始まる土佐の旅も、きっと素晴らしいものになるはずです。