第26番札所 金剛頂寺の境内
第26番札所 金剛頂寺の境内

第25番札所から約3.8キロ。室戸岬を挟んで反対側、行当岬(ぎょうどみさき)の山頂付近にあるのが第26番札所・金剛頂寺(こんごうちょうじ)です。

室戸岬にある第24番・最御崎寺が「東寺(ひがしでら)」と呼ばれるのに対し、こちらは「西寺(にしでら)」として親しまれています。境内は原生林に囲まれ、弘法大師が天狗を封じ込めたという伝説が残る神秘的な場所。
また、室戸の捕鯨文化を今に伝える資料館もあり、歴史と信仰が深く結びついた霊場です。

山号・院号 龍頭山 光明院(りゅうずざん こうみょういん)
宗派 高野山真言宗
御本尊 薬師如来(やくしにょらい)
開基 弘法大師(空海)
御真言 オン・コロコロ・センダリ・マトウギ・ソワカ
御詠歌 往(ゆ)く末(すえ)を 長(なが)くうれしき 金剛頂(こんごうちょう) 菩提(ぼだい)の種(たね)を こぼさぬように (意味:金剛頂寺に参り、未来にわたって長く喜びを得られるよう、悟り(菩提)の種をこぼさぬよう大切にしなさい)

26番札所・金剛頂寺の歴史と縁起

大同2年(807年)、弘法大師がこの地で修行をしていた時のことです。天狗(魔物)が現れて修行の邪魔をしました。
そこで大師は、密教の法具である「金剛杵(こんごうしょ)」を投げて結界を張り、天狗を足摺岬の方へ追い払って封じ込めたといいます。この伝説から「金剛頂寺」と名付けられました。

また、嵯峨天皇の勅願所として栄え、次の第27番札所・神峯寺(こうのみねじ)と共に「土佐の関所」としての役割も果たしてきました。足利尊氏や長宗我部元親など、多くの武将からも寄進を受けた格式高いお寺です。

境内の見どころ:伝説の釜と鯨の歴史

深い森に囲まれた境内には、不思議な伝説を持つ釜や、室戸ならではの歴史を伝える施設があります。

1. 飢えを救った「一粒万倍の釜」

大師堂の横にある大きな釜は「一粒万倍(いちりゅうまんばい)の釜」と呼ばれています。
伝説によると、弘法大師が一粒の米をこの釜に入れて炊いたところ、万倍に増えて溢れ出し、飢えに苦しむ人々を救ったと伝えられています。現在は、この釜に頭を入れると「厄除け」や「脳の病気にご利益がある」とされ、多くの参拝者が頭を入れて祈願しています。

2. 捕鯨の歴史を伝える「霊宝館」

境内にある「霊宝館(れいほうかん)」には、重要文化財の仏像だけでなく、捕鯨に関する貴重な資料が展示されています。
かつて室戸は捕鯨の基地として栄え、漁師たちは金剛頂寺を深く信仰していました。館内には鯨の骨や、捕鯨の様子を描いた絵馬などが展示されており、海と共に生きた人々の歴史に触れることができます。

3. がん封じの「椿堂」

本堂へ向かう石段の途中にある「椿堂」には、大師が椿の枝を地面に挿して根付いたという伝説の木があります。
このお堂は「がん封じ」にご利益があるとして有名で、病気の平癒を願う人々が遠方からも訪れます。

御朱印・納経について

参拝後は納経所へ。金剛頂寺の御朱印には、薬師如来を表す梵字(バイ)と「本尊 薬師如来」の文字が記されます。
「西寺」の通称で親しまれる古刹の御朱印は、力強く、天狗をも退散させるパワーを秘めているかのようです。

アクセス・駐車場・参拝案内

  • 所在地: 高知県室戸市元乙523
  • 第25番からの距離: 第25番札所・津照寺から約3.8km。車で約10分、徒歩で約1時間。一度海岸線に出てから、再び山へ登ります。
  • 駐車場: あり(無料)。山門の近くまで車で上がることができますが、急な坂道が続くため注意が必要です。
  • 次の札所へ: 第27番札所「神峯寺」までは約27.5km。ここから海岸線を北西へ進む、長い道のりとなります。土佐の海を眺めながらのドライブ・歩き遍路が続きます。

まとめ:天狗伝説と海の歴史が交差する山

第26番札所・金剛頂寺は、山岳信仰の厳しさと、海に生きる人々の温かい信仰が同居する場所です。 一粒万倍の釜で厄を落とし、捕鯨の歴史に触れる。室戸の自然と文化の深さを感じながら、次の旅路へのエネルギーをチャージしてください。