第34番札所から約10キロ。仁淀川の清流を渡り、土佐市の北部に位置する医王山の中腹に、第35番札所・清瀧寺(きよたきじ)があります。
遠くからでも見えるほど巨大な薬師如来像が目印のこのお寺は、弘法大師が杖で岩を突いて水を湧き出させた「清瀧」の伝説が残る場所。境内からは土佐市街や太平洋を一望できる絶景が広がっています。
巨大な仏像の胎内を巡る厄除け体験や、歴史ロマンあふれる由緒をご案内します。
| 山号・院号 | 医王山 鏡池院(いおうざん きょうちいん) |
|---|---|
| 宗派 | 真言宗豊山派 |
| 御本尊 | 薬師如来(やくしにょらい) |
| 開基 | 行基菩薩 |
| 御真言 | オン・コロコロ・センダリ・マトウギ・ソワカ |
| 御詠歌 | 澄(す)みのぼる 清瀧(きよたき)の水(みず) くみあげて 心(こころ)の垢(あか)を 洗(あら)いすすがん (意味:清らかに澄み渡る清瀧の水を汲み上げて、心についた迷いや煩悩の垢を洗い流そう) |
35番札所・清瀧寺の歴史と縁起
養老7年(723年)、行基菩薩がこの地を訪れ、薬師如来像を刻んで開基したと伝えられています。当時は「景山密院」と呼ばれていました。
その後、弘法大師が訪れた際、この地で7日間の修法を行いました。満願の日に大師が金剛杖で岩壇を突くと、そこから清らかな水が鏡のように吹き出したといいます。この奇跡にちなみ、寺号を「清瀧寺」、院号を「鏡池院」と改めました。
また、平城天皇の第三皇子である高岳親王(たかおかしんのう)が、大師の弟子となってこの地で修行したことでも知られ、本堂の裏には親王の墓所(逆修塔)が残されています。
境内の見どころ:巨大仏と絶景と厄除け
ミカン畑の広がる急な坂道を登り切った先には、素晴らしい眺望と迫力ある仏像が待っています。
1. 圧倒的存在感「巨大薬師如来像」
境内に入ってまず目を奪われるのが、高さ15メートル(台座を含む)の巨大な薬師如来立像です。
昭和8年(1933年)に建立されたこの像は、遠くからでもその姿を確認できるほど。病気平癒や厄除けを願う人々の信仰を一身に集める、清瀧寺のシンボルです。
2. 厄除けの「胎内巡り(戒壇巡り)」
この巨大な薬師如来像の台座の中は空洞になっており、中に入って参拝することができます(胎内巡り)。
真っ暗な通路を手探りで進み、薬師如来の真下まで行ってお祈りをすることで、厄を落とし、生まれ変わったような清らかな心になれると言われています。無料で体験できますので、ぜひ挑戦してみてください。
3. 土佐市を見渡す「絶景」
本堂の前に立つと、眼下には土佐市の町並みや、雄大に流れる仁淀川、そしてその先に広がる太平洋までを一望できます。
かつて津波の被害から逃れるために高台に移されたとも言われるこの場所。心地よい風に吹かれながら景色を眺めれば、ここまで登ってきた疲れも吹き飛びます。
御朱印・納経について
参拝後は納経所へ。清瀧寺の御朱印には、薬師如来を表す梵字(バイ)と「本尊 薬師如来」の文字が記されます。
「清瀧」という涼やかな名前の通り、心の垢を洗い流してくれるような清々しい御朱印です。
アクセス・駐車場・参拝案内
- 所在地: 高知県土佐市高岡町丁568-1
- 第34番からの距離: 第34番札所・種間寺から約10km。車で約20分、徒歩で約2時間半。仁淀川大橋を渡るルートです。
- 駐車場: あり(無料)。山門の近くまで車で上がれますが、ここに至る参道は非常に道幅が狭く、急勾配の難所です。
- 注意点: 大型バスは通行不可です。自家用車でもすれ違いが困難な箇所が多いため、運転に自信のない方は麓からタクシーを利用するか、歩いて登ることをお勧めします。
- 次の札所へ: 第36番札所「青龍寺」までは約14km。横浪半島(よこなみはんとう)という美しい海岸線エリアへ向かいます。
まとめ:巨大仏に見守られる天空の寺
第35番札所・清瀧寺は、アクセスの厳しさと引き換えに、素晴らしい絶景とユニークな胎内巡り体験ができるお寺です。 巨大な薬師様の懐(胎内)に入り、厄を落として生まれ変わる。そんな特別な体験が、旅の記憶に深く刻まれることでしょう。