第36番札所から約57キロ。清流・四万十川が流れる自然豊かな四万十町の中心部に、第37番札所・岩本寺(いわもとじ)があります。
このお寺は、四国八十八ヶ所の中で唯一、不動明王をはじめとする5人の仏様を御本尊として祀っているユニークなお寺です。
そして何より有名なのが、本堂の天井を埋め尽くす575枚もの色鮮やかな「天井画」。伝統的な仏画からマリリン・モンローまで描かれたポップな空間は、訪れる人々を驚きと感動で包みます。
| 山号・院号 | 藤井山 五智院(ふじいざん ごちいん) |
|---|---|
| 宗派 | 真言宗智山派 |
| 御本尊 | 不動明王、観音菩薩、阿弥陀如来、薬師如来、地蔵菩薩(五仏) |
| 開基 | 行基菩薩 |
| 御真言 | オン・サンマヤ・サトバン(※代表して五智如来の真言など) |
| 御詠歌 | 六(む)つのちり 五(いつ)つの社(やしろ) あらわして 深(ふか)き仁井田(にいだ)の 神(かみ)の楽しみ (意味:六根の迷いを払い、五つの社(神仏)を顕現して、仁井田の神も仏も共に楽しんでおられる) |
37番札所・岩本寺の歴史と縁起
天平年間、行基菩薩が聖武天皇の命を受けて開基し、当初は「七福寺」と呼ばれていました。
その後、弘法大師がこの地を訪れ、星の神様を祀る秘法(星供の法)を行いました。その際、大師は仁井田明神(にいだみょうじん)という神様の御神体を5つの社に分け、それぞれの本地仏(神様の本来の姿とされる仏)として、不動明王・観音菩薩・阿弥陀如来・薬師如来・地蔵菩薩の5体を安置しました。
この神仏習合の歴史が、現在も5人の御本尊を祀る理由です。明治の神仏分離で神社とは分かれましたが、今も「仁井田のお不動さん」として厚く信仰されています。
境内の見どころ:アートと5人の仏様
宿坊やキャンプ施設、サウナまで備えた現代的な一面も持つ岩本寺。その見どころをご紹介します。
1. 圧巻のアート「575枚の天井画」
昭和53年に本堂が再建された際、全国から公募で集められた575枚の絵が天井にはめ込まれました。
花鳥風月を描いた日本画だけでなく、マリリン・モンローや風景画、抽象画など、そのジャンルは多種多様。寝転がって眺めたくなるような、美術館のような空間が広がっています。
2. 唯一の「五仏の御本尊」
通常、札所の御本尊は1体ですが、岩本寺は5体(不動明王、聖観音、阿弥陀如来、薬師如来、地蔵菩薩)いらっしゃいます。
これは、あらゆる願い事を聞き届けてくれるオールマイティなパワーを意味します。厄除け、家内安全、病気平癒など、それぞれの仏様に願いを託してみましょう。
3. 清流「四万十川」の玄関口
岩本寺は「日本最後の清流」と呼ばれる四万十川の上流域に位置しています。
お参りの前後には、沈下橋(ちんかばし)がかかる四万十川の美しい風景を楽しむことができ、自然の癒やしと信仰が融合した豊かな時間を過ごせます。
御朱印・納経について
参拝後は納経所へ。岩本寺の御朱印は、5体の御本尊を代表して中心的な存在である不動明王や地蔵菩薩の梵字などが記されることが一般的です。
また、岩本寺オリジナルのポップなデザインのお守りや御朱印帳も人気があります。
アクセス・駐車場・参拝案内
- 所在地: 高知県高岡郡四万十町茂串町3-13
- 第36番からの距離: 第36番札所・青龍寺から約57km。車で約1時間半、徒歩だと約13〜14時間の長旅です。海岸線から内陸の四万十町へ入ります。
- 公共交通機関: JR土讃線「窪川駅」から徒歩約10分。駅からのアクセスが良いのも特徴です。
- 駐車場: あり(有料)。山門横に駐車場があります。
- 次の札所へ: 第38番札所「金剛福寺」までは約85km。ここから四国最南端・足摺岬を目指す、四国遍路の中でも最長の移動区間(約80〜90km)が始まります。
まとめ:伝統とアートが融合する祈りの場
第37番札所・岩本寺は、古い歴史を守りながらも、新しい文化を柔軟に取り入れる懐の深さがあるお寺です。 天井画の彩りに心を躍らせ、5人の仏様に守られて、いよいよ四国最南端への長い旅路へと出発してください。