【第54番札所 延命寺】泣いて戻った伝説の鐘!今治の火伏せ不動尊

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第54番札所 延命寺の山門と境内
第54番札所 延命寺:火難除けの不動明王を祀る今治の古刹

第53番札所から瀬戸内海の海岸線を走り、造船の町・今治市に入って最初に訪れるのが第54番札所・延命寺(えんめいじ)です。

「近見(ちかみ)の不動さん」として親しまれるこのお寺は、かつて今治城から夜な夜な泣いて帰ってきたという不思議な「鐘の伝説」を持つ場所。
火災を除ける「火伏せ不動尊」としての信仰も厚く、静かな境内には歴史ロマンと庶民の祈りが息づいています。

山号・院号 近見山 宝鐘院(ちかみざん ほうしょういん)
宗派 真言宗豊山派
御本尊 不動明王(ふどうみょうおう)
開基 行基菩薩
御真言 オン・コロコロ・センダリ・マトウギ・ソワカ
御詠歌 くもりなき 鏡(かがみ)の縁(えん)と ながむれば 残(のこ)さず影(かげ)を うつすものかな (意味:一点の曇りもない鏡のような縁(仏法)を眺めれば、そこには真実の姿がありのままに映し出されるものだ)

54番札所・延命寺の歴史と縁起

養老4年(720年)、聖武天皇の勅願により行基菩薩が大日如来を刻んで、近見山(ちかみやま)の山頂に開基しました。当時は「円明寺」という名でした。

その後、弘法大師がこの地を訪れ、不動明王を刻んで本尊とし、寺号を「延命寺」に、院号を「宝鐘院」と改めました。この院号は、後述する伝説の鐘に由来します。
かつては七堂伽藍を備える大寺院でしたが、度重なる火災により、享保12年(1727年)に現在の麓の場所へ移されました。本尊の不動明王は「火伏せ(火事除け)」のご利益があるとして、今も厚く信仰されています。

境内の見どころ:伝説の鐘と火伏せの不動

松林を抜けた先にある境内は、春は桜やツツジ、秋は紅葉が美しく、お遍路さんの疲れを癒やします。

1. 泣いて帰った「伝説の梵鐘」

延命寺には不思議な鐘の伝説があります。
明治時代、この寺の梵鐘があまりに立派だったため、今治城主が城に持ち帰ってしまいました。ところが、その夜から鐘が「おん、めい、じ… えんめいじ…(延命寺に帰りたい)」と泣くように鳴り響き、城主や家来たちを悩ませました。
さらに家来に疫病が流行ったため、恐れをなした城主は鐘を寺に返しました。それ以来、この鐘は「戻り鐘」とも呼ばれ、現在は寺の宝物として大切に保管されています。

2. 火難除けの「不動明王」

御本尊の不動明王は、弘法大師の作と伝えられています。
度重なる火災に見舞われた歴史を持つお寺ですが、このお不動様は「火伏せ不動」として、火事や災難から人々を守る強い力を持つと信じられています。家内安全や災難消除を願うには最適の場所です。

3. 近見山へのハイキング

お寺の背後にある「近見山(標高244m)」は、かつて延命寺があった場所です。
現在は展望台が整備されており、しまなみ海道の来島海峡大橋や瀬戸内海の多島美を一望できる絶景スポットとなっています。お寺から少し足を伸ばせば、素晴らしい景色に出会えます。

御朱印・納経について

参拝後は納経所へ。延命寺の御朱印には、不動明王を表す梵字(カーン)と「本尊 不動明王」の文字が記されます。
「延命」という縁起の良い名前と、力強い不動明王の御朱印は、健康長寿のお守りとしても喜ばれます。

アクセス・駐車場・参拝案内

  • 所在地: 愛媛県今治市阿方甲636
  • 第53番からの距離: 第53番札所・円明寺から約34km。海岸沿いの「はまかぜ海道」を走る爽快なルートです。車で約50分、徒歩だと約8〜9時間かかります。
  • 駐車場: あり(無料)。山門前に整備された駐車場があります。
  • 次の札所へ: 第55番札所「南光坊」までは約3.4km。車で約10分、徒歩で約50分。今治市の中心部へと入っていきます。

まとめ:鐘の音に導かれ、今治の地へ

第54番札所・延命寺は、松山から続く長い移動を終え、今治エリアの巡礼をスタートさせる重要なお寺です。 伝説の鐘の物語に触れ、不動明王に旅の安全を祈り、ここから始まる今治の札所巡り(54番〜59番)への英気を養ってください。

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