第57番札所から山道を登ること約2.5キロ。標高約300メートルの作礼山(されいざん)の山頂近くに、第58番札所・仙遊寺(せんゆうじ)があります。
「仙人が遊んで消えた」という不思議な伝説が名前の由来。その名の通り、境内からは今治の市街地や瀬戸内海、しまなみ海道までを見渡すことができ、まるで仙人が空から下界を眺めているような気分になれます。
お遍路の疲れを癒やす天然温泉付きの宿坊も備えた、癒やしと絶景の山岳霊場をご案内します。
| 山号・院号 | 作礼山 千光院(されいざん せんこういん) |
|---|---|
| 宗派 | 高野山真言宗 |
| 御本尊 | 千手観世音菩薩(せんじゅかんぜおんぼさつ) |
| 開基 | 越智守興(おちもりおき) |
| 御真言 | オン・バザラ・タラマ・キリク・ソワカ |
| 御詠歌 | 立ち寄(よ)りて 作礼(されい)の池(いけ)に すむ月(つき)を 見(み)れば心(こころ)も 澄(す)む仙遊寺(せんゆうじ) (意味:立ち寄って、作礼山の池に映る清らかな月を眺めれば、心まで澄み渡っていくようだ) |
58番札所・仙遊寺の歴史と縁起
天智天皇の勅願により、国司の越智守興が堂宇を建立しました。御本尊の千手観音像は、海から上がってきた竜女(りゅうにょ)が一刀三礼して刻んだという伝説があります。
この寺には、阿坊仙人(あぼうせんにん)という行者が40年もの間、暮らしていました。
弘法大師がこの地を訪れた際、突然、仙人が雲となって姿を消してしまいました。この「仙人が遊んで消えた」という言い伝えから、寺号を「仙遊寺」と名付けたとされています。
かつては七堂伽藍を誇る大寺院でしたが、度重なる火災に見舞われ、現在の本堂は昭和に再建されたものです。
境内の見どころ:天空の眺望と温泉宿坊
急な山道を登りきった先に待っているのは、息を呑むような景色と、心温まるおもてなしです。
1. 瀬戸内海を一望する「絶景」
仙遊寺は今治市街を見下ろす高台にあり、天気の良い日には瀬戸内海に架かる「しまなみ海道」の橋や、遠く石鎚山系まで望むことができます。
特に境内からの夕景や夜景は美しく、ここまで登ってきた苦労が報われる瞬間です。まさに天空の寺と呼ぶにふさわしいロケーションです。
2. 天然温泉のある「宿坊」
仙遊寺の大きな特徴は、近代的な設備を備えた宿坊があることです。
ここにはお寺には珍しい「天然温泉」があり、お遍路さんはもちろん、一般の観光客も利用可能です(要予約・日帰り入浴可)。精進料理をいただき、温泉で疲れを癒やし、絶景を眺める。極上の癒やし体験ができる宿坊として人気を集めています。
3. 千手観音と童子像
本堂の御本尊・千手観音菩薩は、厄除けや病気平癒のご利益で知られています。
また、参道の途中や境内には可愛らしい童子の像が点在しており、厳しい修行の場でありながらも、どこかほっとするような温かい雰囲気が漂っています。
御朱印・納経について
参拝後は納経所へ。仙遊寺の御朱印には、千手観音を表す梵字(キリーク)と「本尊 千手観世音」の文字が記されます。
仙人の伝説が残る山でいただく御朱印は、俗世の垢を落とした清らかな証となるでしょう。
アクセス・駐車場・参拝案内
- 所在地: 愛媛県今治市玉川町別所甲483
- 第57番からの距離: 第57番札所・栄福寺から約2.5km。距離は短いですが、標高300mまで登る急な山道(車遍路にとっても難所)です。徒歩だと約40分〜1時間かかります。
- 駐車場: あり(有料:普通車400円)。山門の手前に駐車場があります。
- 次の札所へ: 第59番札所「国分寺」までは約6.1km。山を下り、田園地帯にある伊予の国分寺へと向かいます。
まとめ:仙人気分で絶景と湯浴みを
第58番札所・仙遊寺は、お遍路の厳しさと楽しさの両方を味わえるお寺です。 急な坂道を登りきった達成感、眼下に広がる絶景、そして温泉。心身ともにリフレッシュして、仙人のように軽やかな心で次の札所へ向かってください。