第65番札所から県境を越え、いよいよ最後の「涅槃(ねはん)の道場・香川県」に入ります。その最初の札所にして、四国八十八ヶ所で最も高い標高911メートルにあるのが第66番札所・雲辺寺(うんぺんじ)です。
「四国高野」とも呼ばれるこのお寺は、雲海に浮かぶような幻想的な風景と、日本最大級のロープウェイで登るダイナミックなアクセスが魅力。
腰掛けて願いを託す「おたのみナス」や、表情豊かな五百羅漢像など、天空の霊場ならではの見どころをご案内します。
| 山号・院号 | 巨鼇山 千手院(きょごうざん せんじゅいん) |
|---|---|
| 宗派 | 真言宗御室派 |
| 御本尊 | 千手観世音菩薩(せんじゅかんぜおんぼさつ) |
| 開基 | 弘法大師(空海) |
| 御真言 | オン・バザラ・タラマ・キリク・ソワカ |
| 御詠歌 | はるばると 雲(くも)のほとりの 寺(てら)に来(き)て 月日(つきひ)を今(いま)は 足元(あしもと)に見(み)る (意味:はるばると雲のほとりにある高い山寺に来てみれば、下界では遠く見上げていた月や太陽も、今は足元に見えるほど高い場所に来たのだなあ) |
66番札所・雲辺寺の歴史と縁起
弘法大師は、16歳の時にこの山に登り、その霊気に打たれて堂宇を建立することを志しました。その後、33歳、42歳の時にも登り、千手観音像を刻んで本尊とし、仏舎利(お釈迦様の遺骨)と毘沙門天を納めて「四国高野」として開創しました。
住所としては徳島県三好市に位置しますが、香川県側の麓から登ることが一般的で、霊場巡りでは「香川県(涅槃の道場)」の最初の札所とされています。
かつては「遍路ころがし」と呼ばれる難所でしたが、現在はロープウェイの開通により、誰でも気軽に参拝できるようになりました。
境内の見どころ:天空の絶景とユニークな願掛け
ロープウェイを降りると、そこは下界とは別世界の涼しさと静けさに包まれています。
1. 願いを叶える「おたのみナス」
境内には、巨大なナスの腰掛け「おたのみナス」があります。
「ナス」は「成す(成功する)」に通じ、花が咲けば必ず実をつけることから、縁起が良いとされています。このナスに腰掛けて願い事をすると、どんな願いも叶うと言われています。ぜひ座って記念撮影をしながら祈願しましょう。
2. 表情豊かな「五百羅漢(ごひゃくらかん)」
参道や境内の至る所に、等身大の「五百羅漢像」が並んでいます。
笑ったり、怒ったり、悩んだり…その表情は実に豊か。自分や知人に似た顔が必ずあると言われています。一体一体のお顔を見ながら散策するのも楽しみの一つです。
3. 天空の公園と毘沙門天
お寺のすぐ近くには「雲辺寺山頂公園」があり、瀬戸内海や讃岐平野を一望できる「天空のブランコ」がSNS映えスポットとして大人気です(※お寺とは別のエリアですが、ロープウェイ山頂駅からすぐです)。
また、境内の一番高い場所には巨大な「毘沙門天展望館」があり、360度の大パノラマを楽しむことができます。
御朱印・納経について
参拝後は納経所へ。雲辺寺の御朱印には、千手観音を表す梵字(キリーク)と「本尊 千手観世音」の文字が記されます。
四国最高峰の証となる御朱印です。雲の上でいただいた功徳を大切に持ち帰りましょう。
アクセス・駐車場・参拝案内
- 所在地: 徳島県三好市池田町白地ノロウチ763-2(※住所は徳島ですが、アクセスは香川県観音寺市側からのロープウェイが一般的です)
- 第65番からの距離: 第65番札所・三角寺から約18km。
- アクセス方法(雲辺寺ロープウェイ):
- 香川県観音寺市にある「雲辺寺ロープウェイ山麓駅」へ向かいます(無料駐車場あり)。
- ロープウェイ乗車時間:約7分(全長約2,600m、日本最大級の規模)。101人乗りのゴンドラで一気に山頂へ。
- 運賃: 往復 大人2,200円(※料金は変更になる場合があります)。
- 次の札所へ: 第67番札所「大興寺」までは約10km。ロープウェイで下山し、観音寺市・三豊市の平野部へ向かいます。
まとめ:雲の上で涅槃の旅を始める
第66番札所・雲辺寺は、四国の屋根から下界を見下ろし、悟りへの決意を新たにする場所です。 おたのみナスに願いを込め、五百羅漢に見送られて、ここから始まる「涅槃の道場・香川」の旅路を清々しくスタートさせてください。